はじめに
皆さんは仕事で溜まったストレスをどのようにして解消していますか? 今回、おすすめしたい簡単メソッドが散歩です。散歩の形態もいろいろありますが、ダイエットや体力アップを目的としたウオーキングが多いのではないでしょうか?
私の場合、コロナ禍が始まって2020年4月から本日まで1年以上にわたって通勤からテレワーク(在宅勤務)へと仕事環境が大きく変化しました。テレワークという仕事スタイルは、良くも悪くも仕事とプライベート(家庭)の境界線を曖昧にしてしまいました。その結果、私個人としては次のようなメリット・デメリットがありました。
●メリット:
・通勤時間が不要となり、その時間を他のことに利用できた。
・仕事の裁量権が増したことにより、時間と労務の管理に関して自由度が増した。
・家族とのコミュニケーションが増えた。
●デメリット:
・厳格な自己管理能力が必要とされた(慣れるまでの3ヶ月は仕事と生活のバランスが若干不安定になった)。
・仕事の成果をより強く求められた。
・家族に気をつかうことが多くなった(互いにほとんど家に居るため)。
・運動不足になった(往復通勤での自転車4km+徒歩2kmが無くなったこと)
* テレワークとは関係ないが、コロナ感染予防のため、毎週のゴルフ練習をやめたことも運動不足の原因のひとつです。
テレワークのデメリットよりもメリットの数の方が少ないですが、仕事の効率や質はむしろ向上したと感じています。
一方、プライベートな生活面では、自由な時間が1日あたり2時間程度は物理的に増えているのですが、精神的にはあまりハッピーな感じがしませんでした。その理由は、仕事と生活(家族への応対を含む)の境界線が曖昧になったために、仕事と生活との間で気持ちの切り替えを短時間のうちに頻繁しなければならなかったということだと思います。
そのような状況では集中力を維持することは難しく、「無意識のうちに仕事優先になってしまったかな」と反省しています(やるべきことの緊急性を考慮するとどうしても家族のことは後回しになってしまいがちですよね🐙)。
そんな中で、テレワーク開始後6ヶ月が経過したあたりで、体調を崩してしまいました。それがきっかけとなり、半年間の試行錯誤の結果、テレワークと生活を両立させつつメンタルヘルスを維持向上させる方法として ”散歩スタイル” を創り上げましました。
本投稿では、「散歩スタイルの構築からモーニングルーティンへの昇華に至るまでのプロセス」をを紹介します。
「なんとなく頭がモヤッとしている」という不調のサイン
上述のとおり、テレワーク開始後6ヶ月が経過したあたりで体調を崩してしまったのですが、その最初の兆しは「なんとなく頭がモヤッとしている」という感覚でした。仕事に著しく悪影響を及ぼすほどのものではありませんが、「集中力が落ちてるな」という自覚はありました。また、運動不足により体がなまって、それがストレスになっていたのかもしれませんが、ちょっと寝つきも悪くなっていました。
さらに、1ヶ月がすぎたあたりから、ときどき耳鳴りの症状が出るようになりました。この時点で、「ちょっと休んだ方がよいかな」と感じました。そこで、2週間に1回の割合で有給休暇をとって、好きなオペラや落語を聞いたり、家の周りを散歩したりするようになりました。
ある早朝のこと、雲ひとつない青空で程よい浜風が吹いていました。「ちょっくら散歩でもするか」という軽い気持ちで浜辺に降りていき、波打ち際を2kmほど歩きました。1時間ほどかけて帰宅してから、シャワーを浴びて書斎に着きました。この時、これまでの散歩の時とは明らかに違って、頭のスッキリ感がとても心地よいことに気が付きました。
そして、軽く朝食を済ませた後、9時から自然と仕事に取りかかりました。その日は、集中力が途切れたりすることもなく、イライラしたりすることもなく、いつものペースで18時に仕事を終えました。
この経験を通じて、直感的に「散歩でメンタルヘルスを改善できるかもしれない!」と確信しました。ただ、どんな散歩でも効果があるわけではなかったので、「どんな散歩の条件あるいは環境が組み合わさった時にメンタルヘルスに好影響を与えるのか」という疑問が出てきました。
自分に合った散歩スタイルを確立するまで
試行錯誤の結果、漸く私がたどり着いた「メンタルヘルス改善に最も効果的なベストプラクティス」は、散歩を核とする動作スタイルでした。今となっては、この一連の動作がモーニングルーティンになっています。次の12の質問は、「散歩がメンタルヘルス改善に役立つ」という仮説を検証するために、自分自身が散歩を実行できる条件を自問自答したときに作成した質問集です。
・起床時間は?: 6時
・どこを散歩するか?: 家の周辺の浜辺(自宅は海岸から150mのところにあります)
・散歩コースは?: 3パターン(ウェストコース、イーストコース、ぐるっとサークルコース)
・いつ散歩するか?: 早朝(4ー9月/6時30分ー7時、10ー3月/7時ー7時30分)
・どれくらいの時間(距離)を使うか?: 20分(約2km)
・だれと散歩するか?: 一人
・歩くスピードは?: 浜辺は平均的な徒歩スピード、自宅から浜辺までの往復:思いっきり早歩き
・散歩後のフォロー作業は?: 散歩から帰宅後にシャワーを浴びる(10分) → 軽い朝食(バナナ、パン、トマト、レタス、豆乳とミルクのブレンドドリンク)を自分で準備して摂る(20分)。→ ニュース記事のチェックまたは文筆活動(30ー60分)
・身支度は?: 服装、髪型、スキンケアなど身なりを整える。
・仕事開始は?: コーヒーを自分で入れて、9時ジャストに仕事を開始する。
・頻度は?: 週に1回の出勤日以外は毎日(雨天はレインコートで決行)
私がどのようにしてこのようなモーニングルーティンにたどり着いたかを次のとおり時系列にまとめました。
① 2020年9月下旬:
メンタル面で不調を感じ始めました。具体的には、頭のモヤモヤ感、仕事への集中力の低下、耳鳴り、寝つきの悪さ(夜中に3回くらい目が覚めるという症状)です。
② 2020年10月上旬ー12月上旬:
とりあえず、仕事の合間(早朝、昼休み、夕方の3パターン)に家の近くの浜辺または公園までの道のりをマイペースで30分ほど散歩することから始めました。天気が良い日を選んで1週間に2−3回程度の散歩(時間は15、30、50分の3パターン)を2ヶ月半ほど続けて、体調の変化を記録しました。まずは、どのような散歩のスタイルがメンタルヘルスに効果的なのか、いろいろな条件を試してみました。
③ 2020年12月上旬:
合計25回ほどの散歩実験の結果、開始時間、消費時間、場所の3つの条件の組み合わせと体調改善との相関性があることに気がつきました。私は「早朝(8時前後)」✖️「30分」✖️「浜辺」の散歩条件のときに、精神が安定してその日の仕事が効率的にできるようになっていたのです。自分で以外だったのですが、この散歩パターンの時は、仕事始めの9時の時点で頭も体もなんとなく心地よい(シャキッとしている感じ)ということに気づいていました🐙。
その理由を考察した結果、意外にも想定外の気づきがありました。それは自然との融合でした。散歩中に体験する「鳥の声」、「波の音」、「潮の香り」、「海と空の青い景色+漂う船」、「昇り始めた太陽の光」、「浜辺に生えている草花や砂に手を触れること(例:食養植物のツルナの採取)」によって四感(聴覚、嗅覚、視覚、触覚)が刺激されて心がリフレッシュされるのです。中でも、「昇り始めた太陽の光」は重要なファクターかもしれません。なぜなら、早朝以外の時間帯のウォーキングではではメンタルヘルス効果が有意に下がったからです(私特有の経験)。
かなり後になって気がついたのですが、「早朝7時はまだ人気が少なくあたりが静かである → 精神が研ぎ澄まされる」ということも精神の安定化に大いにプラスに働いていることがわかりました。
これに関連して、ウォーキング中は、次の2つのことを意識しました。このことが、「頭のスッキリ感」に最も効果的に機能したと考えています。
・ できるだけ頭を空っぽにする。
・ 感覚(聴覚、臭覚、視覚、触覚)を研ぎ澄ます。
一方、散歩時間は10分でも30分でも60分でも十分なメンタルヘルス効果が実感できました。最終的な散歩時間の選択については、起床時間・仕事や朝食の段取り・家族(妻と子供2人)との協調などの理由から20〜30分が適切との結論に至りました。
④ 2020年12月上旬ー2021年2月下旬:
いよいよここから仮説の検証と散歩の前後の動作の試行です。まずは、早朝(8時前後)」✖️「20分」✖️「浜辺」がベストという仮説を検証するため、このパターンを1ヶ月継続しました。同時に、散歩の頻度を検証した結果、週に2回が負担なく継続できることがわかってきました。また、散歩でのウォーキングスピードも同時並行で検証をしました。これはせっかちな私の性格と関係しているかもしれませんが、かなり早歩き(最高徒歩スピードの90%程度)で実施するのがベストとの判断になりました。
ちなみに、ジョギングも試してみました。ジョギングもウォーキングと同様に気持ちよくシャキッとした感覚がありました。ただ、仕事開始の9時の時点で、やや疲労感が残っていたため、私には適さないと判断しました。
ちなみに、健康増進(体力とメンタルの両面)に効果的なウォーキングのスピード・時間・頻度については、医学博士の能勢博氏が著書 ”ウォーキングの科学” で詳しく紹介されています。
引用元: ウォーキングの科学 能勢博 著 講談社 2019年発行
最高酸素消費量の70%以上の速歩と40%以下のゆっくり歩きを3分間ずつ繰り返すという簡単なメソッドです。歩行時間と頻度はそれぞれ1日に30分以上✖️週に4日間以上を継続できれば、生活習慣病、うつ、不眠、認知機能の予防改善に効果的とのことです。
一方、上述の散歩スタイルを実現するうえで、都合のよい起床時間および散歩後のルーティンの仮説を立てました。まずはたたき台として、「起床時間:5時30分、6時、6時30分の3パターン」✖️「シャワーの有無」✖️「朝食の有無」の組み合わせを検証しました(仕事開始は8時45分を想定)。
その結果、「6時30分起床」✖️「散歩後にシャワー」✖️「野菜・パン・豆乳とミルクのブレンドの軽食」が最も体調が良く家族のライフスタイルとも不具合がないということがわかってきました。
⑤2021年3月上旬ー2021年4月中旬:
ここからは概ね完成型の検証と各ルーティン項目の微調整になります。ここで問題が発生しました。12月と4月では日の出時間の差と早朝の気温がバイオリズムに影響することに気がつきました🐙。実際、4月中旬で早朝7時の時点では外は十分に明るく、気温も暖かくなったことから目覚めが良くなっていました。
そこで、起床時間と散歩開始時間を30分早めて「6時起床にて6時30分から散歩開始」というスタイルに変更することで解決できました。かくして、春夏は30分の前倒しタイムをとることとしました。
⑥2021年4月下旬ー2021年5月下旬:
概ね確定したモーニングルーティンの検証に入りました。ほぼ最終段階ですが、ここで問題が発生します。
週2−3回のペースで晴天の時のみ継続していたウォーキングですが、ウォーキングしない日はなんとなく気持ちがスッキリしないのです(体もなまるような感じ)。ウォーキングしない日でもその日がゴミ出しの日(火曜と金曜)であれば必然的にゴミ置き場までの往復3分程度のウォーキングが発生するのですが、これだけでもすごく気持ちが良いことに気がついたのです(自分でも超びっくり🐙)。
そこで、思い切って、ウォーキングを毎日実施することとし、体調次第で10分程度の短いウォーキング時間でもOKとしました。
⑦2021年6月上旬〜:
かくして、上述の散歩スタイルが完成し、現在は70%の実行率です。実は、情けないことに、雨の日はウォーキングを時々サボってしまうことがあります🐙。また、イレギュラーな仕事の都合(早朝出勤)でウォーキングが実行できず、代わりに夕方にウォーキングすることもあります。
総じて、昨年度に感じたメンタルの不調はほとんど改善されました。もちろん、仕事や人間関係のストレスそのものがなくなるわけではないですからね。そのあたりはうまく付き合っていくしかないでしょうね🐙。
散歩を始めてから、想定外の副産物がありました。ウォーキング中にユニークな発想がしばしば思い浮かぶのです。家族へのサプライズ案、仕事の新企画案、新たな興味など、面白そうだとか楽しそうと感じることばかりです。時には、趣味で創作している掌握小説のネタが降ってくることもあります(来た!という感じで大興奮🐙)。頭に浮かんだアイデアは忘れないうちにスマートフォンにメモします(LINEアプリのKeepメモを利用🐙)。
ちなみに、米国の映像アーティストであるジュリア・キャメロンは、著書 “ずっとやりたかったことをやりなさい” の中で、「ソロ・ウォーキング(一人だけで散歩すること)は不安を鎮め、創造性を引き出す」とコメントしています。
引用元: ずっとやりたかったことをやりなさい。 ジュリア・キャメロン 著/菅靖彦 翻訳 サンマーク出版 2020年発行
また、同書は「歩くことによって解決される」という聖アウグスティヌス(キリスト教の聖人)の格言も紹介しています。
散歩スタイルを磨いて、モーニングルーティンに昇華!
完成した散歩スタイルを継続する中で、散歩の前後にするべき一連の動作をいろいろと組み合わせていきました。そうすると、おやおやおや、気がつくと、自然な流れで「いわゆるモーニングルーティン」が出来上がっていたのです。散歩を早朝に設定したことが、偶然の結果としてモーニングルーティンに昇華されたという感じです🐙。
散歩の前後にするべき一連の動作の組み立てを試行錯誤する中で、試しに追加した動作のうち、換気、ベッドメイキング、掃除、瞑想、柔軟体操、身支度の5つが思いもよらぬメンタルヘルス向上の相乗効果をもたらしました。これらは全て起床後にトイレ・洗面・歯磨きを済ませた直後に次の順でゆっくりと行います。
① 部屋の換気(30秒程度):6畳の寝室の2箇所のカーテンと窓を開けて空気を入れ替えるとともに、太陽の光が部屋に差し込むようにする。
② ベッドメイキング(1分): ベッドの敷き布団、掛け布団、枕、シーツを整える。
③ 掃除(15分): 部屋、階段、廊下をハンディバキュームで軽く掃除、庭の草引きと掃除、ゴミ出しなど
④ 瞑想(5分): 姿勢を正して坐禅した状態で、窓からの光を感じながら、鳥の声に耳を済ませながら、ゆっくりと深呼吸する。この時、頭が覚醒していくのを意識します。
⑤ 柔軟体操(3分): ウォーキングの出発前に軽く柔軟体操をします。これは怪我予防とウォーミングアップが目的でしたが、瞑想の直後に動作することで、さらに頭がスッキリするような気がします🐙。
⑥ 身支度(5分): 具体的には、整髪とお肌の手入れ(外出するわけではないが、男性の場合は髭の手入れ・女性の場合は最小限のスキンケアを含む)をして、所定の服装に着替えます。この作業は、仕事開始前に仕事のペルソナに変身させることにより、自然と仕事に没入しやすくなる効果がありました気持ちが仕事モードになりやすい)。ちなみに、好みの香水を付けると爽快です🐙。
この4つの動作は起床後の脳の覚醒を段階的に誘導しています。実際、これら6つの動作をするかしないかで、ウォーキング中の頭脳の明晰度(頭のスッキリ感)がかなり違います。
ちなみに、ブレインコーチのジム・クイック氏は、脳トレコーチ「朝の週間」の中で、「ベッドメイキングと瞑想は、朝から脳を活性化させ、その日の生産性を高め、心の平安を保つうえで効果的である」とコメントしています。
引用元: 私が実践するモーニングルーティン ー 脳を活性化させ、毎日を成功に導くために Kwik Brain 著 雑誌 COURRiER 2021.02.27;
私の「散歩スタイル@モーニングルーティン」の完成形
以上のプロセスを経て、最終的に次のとおりモーニングルーティン(春夏バージョン)が完成しました。
●1日のタイムスケジュール:
6:00
・起床
・コップ一杯の水をゆっくり飲用
6:00 – 6:30
・トイレ、洗顔、歯磨き(約10分)
・部屋と階段廊下の換気(約1分=カーテンも開けて太陽光を部屋に入れる)
・ベッドメイキング(約1分)
・着替え(約3分:パジャマは綺麗にたたむ)
・株価や為替など海外情報サイトのチェック(約10分)
・柔軟体操(約3分)
6:30 – 7:00
・庭の掃除(約10分)
・ソロウォーキング(約20分 =早歩き10分+ゆっくり歩き10分)
7:00 – 7:20 シャワー(頭と体のをしっかり洗います)
7:20 – 8:00 少なめの朝食(野菜・オリーブ油・パン/ご飯・くるみ惣菜/納豆・バナナ/苺・豆乳/緑茶など:*食べ物は必ず器に装うこと)を準備して、好きな音楽を聴きながらゆっくり食べる。
8:00 – 8:10
・部屋と階段廊下の掃除(約5分)
・瞑想(約5分)
8:10 – 8:40
・執筆活動(約30分=ブログ、アイデアノートなど)
8:40 – 9:00
・身支度(10分:仕事のペルソナに変身)
・仕事の準備(10分)
9:00 仕事開始
●頻度: 週に5回(基本的に出勤日以外は毎日)
今では、モーニングルーティンの中の「浜辺のソロウォーキング」が私にとっての最も身近なアナザーワールド(仕事と生活の両面から意識がちょっと離れて、頭が空っぽになる時間と空間)なのです。
クライアント様へ: モーニングルーティン構築の無料サポート
自分に合ったモーニングルーティン構築の無料サポートをご希望の方は、こちらをご覧ください。クライアント様のご要望に応じて、キャリアコンサルタントの ”TAKO” が支援させていただきます。
* 申し訳ありませんが、コロナ禍が収束するまで当面の間の応対(無償サポート)は控えさせていただいております。ご容赦ください。
以上